ぽてあやとうさん見聞録 Vol.001
先日、目黒区駒場の VOJA Voice Training Studio で開催された亀淵友香さんの Gospel Workshop に参加し、その講義内容をメモしてきたものを VOUK掲示板に書きましたが、それを下記にまとめてみました。また、太腹さんから推薦された下記書籍も大いに参考になるかと思われます。

2007年2月10日亀渕先生ワークショップメモ
練習曲:Total Praise (作者 : Richard Smallwood )
1.ゴスペルについて
(1)神様と人間との関係など人生のことが書かれている
(2)体ごと歌うことによってこそゴスペルの醍醐味が味わえる
(3)格好をつけられるものではない、おおらかなもの
(4)この世の中に簡単にできるものなど存在しない(ゴスペルも同じ)。しかし、ゴスペルに書かれている内容自体は人間として生きるなら誰でもわかるようなシンプルなこと。神様はそんなに難しいことは言っていない。人を傷つけないこと、傷ついた心を癒す力といった内容である。
2.発声における口の形の大切さ
(1)口の形は歌を歌う上で一番大事なこと
(2)「ところてん」を考えて見て欲しい。出口の形通りに形作られるが声も同じ。口をしっかり開ければそういう声になる。声の出方が変わる。口の形ができれば声はでるのである。
(3)歌うことに夢中になると、つい口の形を作ることを忘れてしまうがそれではダメ。
(4)グループで歌を歌うなら、みんなの口の形を揃えなさい。
(5)特に母音をはっきり開くこと。「イ」とか「エ」とか一言一言はっきり言わないと何を言っているか分らない。はっきり言うと生き生きしてくる。
(6)口の形をきちんと作れば自然に曲に美しい表情が出来る。
・・
例)I lift my hands in total praise to you
<口の形さえ作ればTOの深い音の表情が生まれる>
(1)スウェイをすること。これはゴスペルでは必ずやらなくてはいけない規則です。これによって足の長い人も短い人も皆が揃うのです。
(2)手をしっかり叩くこと。これによってビートが生まれる。
(3)格好良くしようとしてはいけない。格好悪くてもとにかく一生懸命やること。格好悪くとも一生懸命やっていると、そのうち人が格好良いと言ってくれるようになる。一生懸命やりなさい。
4.ゴスペルを歌うにあたって大切なこと
(1)エステティック(審美的)であること。即ち、美しい気持ちで歌う事。これが最も大切。
(2)ワールドビューをもつ事。世の中のことを知りなさい。
(3)神様の近くにいること。信じる心を持ちなさい
(4)アドリブをすること。好きなように歌う瞬間を持ちなさい。それだけあなたは神様に近づく瞬間をもつ事ができる。
(5)美に憧れ、美を追求すること美への憧れは人間を成長させる
5.歌詞を読む
(1)語尾をはっきりということ。
(2)言葉
・Lord:Jesus、Godよりも大きいことば
・Hills:丘に登る⇒神に近くなるという意識
・eyes:単なる”目”ではなく、「思い」を含む気持ち
・I lift my hands:あなたに少しでも近くなるように(手をささげる)
・Total Praise:全身全霊で賛美します
6.息の吸い方、吐き方
(1)歌っているときにおへそがいつも真ん中に居るようにし、上がらないようにする。声帯は歌うと下がるがおへそが上がると声帯が下がってこれない。
(2)そのためには腹式呼吸をすれば良い。腹式呼吸は寝ているときの呼吸をすれば良い。
(3)息を吸うときには鼻の穴をちょっと大きくすると良い。但し、音はさせず静かに吸うこと。
(4)息を吐く時には、自分の身体を全身に空気が入っているゴム人形と思って、全身至るところの空気を出し切るつもりで吐く。吐きづらいときにはストローを加えた口の形を作り吐くと良い。
(5)お腹の筋肉が下に落ちるように吐く。
7.発声その1(ハミング)
(1)発声の時は目はつぶらないこと。気持ちが良くなりすぎると意識が集中できなくなるため。
(2)口を開くということは大変なことなので、最初から口を開けさせずハミングから始めると良い。
(3)体の中に空気を回し、体を温め歌う体を作る。
(4)ハミングの際、あまり喉を響かせると高音が辛くなるので響かせないこと。
(5)口を一回開けて口の中に空間を作ってから閉じてハミングすると良い。
(6)静かに体を地面に置くようなイメージでリラックスすること。絶対に力を入れないこと。
(7)(ハミング1)ドドレレミミファファソソララシシドド
(8)地声で頑張らず、ミックスボイスで楽に声を出す。喉に力を入れず、腰の力で声を作ること。
(9)(ハミング2)口を閉めて開く練習 ンア/ンア/ンア/ンア〜(最後はロングトーン)
(10)Open Jar(顎を開く) 顎を開くことにより、腹筋をしっかり使うことが出来るようになる
(11)舌を歯の裏に乗せて軽く、だらしなくさせておく。よだれが垂れるくらいで良い。
(12)(ハミング3)短く切って発声。短い音をしっかり出すことにより、声にスピード感がついてくる
・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
ンア/ンア/ンア/ンア/ンア/ンア/ンア/ンア/ンア
ドド レレ ミミ ファファ ソソ ファファ ミミ レレ ドド
8.発声その2
(1)フレーズとフレーズの間のブレスの練習
アー/アー/アー/アー/アー/アー/アー
ド ミ ソ ラ ソ ミ ド
アーアーアーアーアーアーアー(ブレス)
(2)ブレスがしっかりしていないと歌えない。ちゃんとブレスし、歌っていないときはリラックスすること。リラックスすると息は入ってくる。
9.譜面の重要性について
(1)音楽は全て譜面に書いてある。成長しない人は自分で好き勝手に歌っている。譜面を覚えてその通りに歌うとその歌の本質が見えてくる。
(2)譜面には作家の心が書いてある。歌手の仕事は作家の心を自分なりに代弁することと考えている。曲を自分のものと思うから悩むのであって、人のものと思えば心が軽くなる
10.音をとるとき
(1)自力でやろうとせず、伴奏の音を良く聞くこと
(2)聞いたら伴奏の音に体を委ねて、体で覚えること
(3)必ず足か手でテンポをとること(少なくとも慣れるまでは)
(4)何分の何拍子かを理解し、きちんと感じること(竹の節を感じること)
11.歌い方
(1)レガートでスローな曲の歌い方(Total Praise)
続いているけど、言葉が大きくてどこで息をついているか分らない曲は、ブレスをするというより一つ一つの言葉をちゃんと一つ一つ言うこと。
each word say again(言葉をカットする)
続いているように聞こえるが、実は一つ一つカットしている。早い歌はレガートにつないでいくが、スローでたっぷりした曲はひとつひとつ切る。あなたの体の中にある息、息というのは一つの命みたいなものだから、それを全身全霊で一つの言葉にかけて下さい。
(2)高い音だと怒鳴る傾向があるが、怒鳴ると苦しく息も出来なくなる。切っていけば怒鳴る必要もなくなる。
(3)怒鳴ってはいけない。怒鳴るのは審美的ではない(美しくない)。 いつも一つ一つの言葉に息をたっぷり使って、一つ一つ料理してあげて下さい。
(4)「アーメン」という言葉がとても大切。「ン」をはっきり言うこと。
(5)歌は勝手に作らないこと。皆さん、最初からこういう歌だと決め付けてその気になってしまい、イメージを持ちすぎる事が多いが、楽譜に書いてある通り素直に歌えばその曲になる。イメージを持ちすぎると体に力が入りすぎ、こんなはずではなかったということが多々ある。
(6)最初のLordはメゾピアノくらいから始めた方が良い。最初から余り強くすると大変。
(7)誰が一番聞き所となる(主となる)メロディーを歌っているかを聞きながら、音のバランスをとること。和音になっているところは気にしなくて良いが、主旋律が動いている時には他のパートを聞いてあげること。黒人の人と歌うとすぐ和音ができてしまうが、和音の人達は誰が今メロディーを歌っているかを良く掴んですごく小さい声で歌い、主旋律を歌いやすくするのが巧みである。ゴスペラーズにせよExileにせよ、バランスが良く形の作り方を良く分っている。周りを良く聞きながら歌うように。
(8)口の形を早く作ること。歌う前に作っておく位で丁度良い。そうすると声を揃えることができる。スピード感がとても大切。さっさと口をあける。ゆっくり開いていいときもあるが滅多に無い。
(9)意味を良く感じること。 Lord, I will lift mine eyes to the hills, どんどん、気持ちが高揚してくる。高い丘があるようなイメージで見ること。歌詞に忠実にすれば心はそこに行く。
12.質疑
(Q)どういう声で歌えば良いか
(A)Rich voice(豊かな声)で歌いなさい。ただ、Rich voice(豊かな声)の定義をどうとらえるかはその人の自由。
(Q)クラッシックの発声法とかなり違うがどうしたら良いか
(A)ゴスペルは町の協会で始まった。黒人霊歌を歌っている人はクラッシックをやっている人が多い。クラッシックをやってきた人はその学んできたことを生かして歌うのが一番良い。ゴスペルの歌い方があるならば、その歌い方にだんだん自分なりに近づいていけば良い。あまりこだわらなくていい。自分で学んできたことを大事にすることが一番大切。
(Q)基本的な発声法
(A)歌っている間に必ずブレスすること。ちゃんと冷静に発声すること。必死になってやっても疲れるだけ。静かな体、静かな頭で冷静に何をやれば良いか考えてやること。1時間のあせった練習より10分のきちんとした練習の方がためになる。声は結果。息をちゃんとし、形をちゃんと作れば出てくる。最初に体を作らなくてはいけない。いい声、強い声を出そうとしてもダメ。準備が大切。力を入れるのも良くない。いつもリラックスすること。声が出ないときというのは、体が絶対固くなっている。人間の集中力は7分が限界。7分やったら10分くらい休む事。そういうレッスンが一番良く、身につく。
(Q)腹筋を固めて動かさない練習、腹筋を動かす練習
(A)⇒両方とも必要
(亀淵先生からのアドバイス) 一生音楽を続けて下さい。
最後になりますが、下記に亀渕先生が主宰されている VOJA(Voices Of Japan)のサイトの最新情報のページのURLを書いておきますので、時々チェックしてみて下さい。これからも随時上記の様な Workshop が開催される様です。
http://www.tmp-voja.co.jp/wn_f.html
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